鍼灸
当院では鍼灸の本場、中国の治療方法をベースに施術を行っております。
全身には多くのツボがあり、一人ひとりの症状や体質にあわせてツボを組み合わせ鍼を刺していきます。
使用する鍼はおおよそ髪の毛ほどの細さです。患者さんの体質や体格、鍼を刺す部分によって鍼の太さや長さを使い分けています。
よくある肩こりや腰痛だけでなく、各種神経痛(帯状疱疹、坐骨神経痛、三叉神経痛など)や顔面神経麻痺、顔面痙攣、眼瞼痙攣、眼瞼下垂、眼疾患(緑内障、斜視、複視、動眼神経麻痺など)、突発性難聴、不眠症、うつ病、婦人科疾患(生理不順、PMS、更年期障害など)、内臓疾患、逆子等の幅広い症状に対応できます。
詳しい症例・施術例については、blogの施術例をご参考ください。(随時更新中)
『鍼灸』とは
鍼灸は東洋医学の一分野として中国に起源し、約2000年以上の歴史をもつ伝統的医療です。東洋医学は鍼灸の他、日本でよく知られるのはあん摩や漢方などがあります。西洋医学が普及する明治時代初期までは、東洋医学は長年医学の中心的な役割を担い続けてきました。現代医学の主流である西洋医学では、身体の悪い部分に薬や手術などで直接アプローチする方法が中心ですが、それに対して東洋医学には”局所だけでなく全身を診る”、”不調を根本的に治す”、”病気を未然に防ぐ”という考え方に基づいて治療を行うという特徴があります。
鍼灸とは、経穴(ツボ)に金属の細い針を刺したり、もぐさを置いて燃焼させたりと、生体に刺激を加えることで、元々身体に備わっている病気を治す力を高める治療法です。あん摩や漢方もそうですが、東洋医学では病気が治る体にすることが根本としてあります。
近年では、医療費の高額化や薬の副作用の問題から現代医学の補完・代替療法の一つとしての注目も高く、また鍼灸のもつ作用から健康維持・増進が期待できる治療法として、海外では特に普及が広まっています。
日本でも鍼灸、そして東洋医学の考え方がもっと一般的に知られるものになり、患者さん自身が西洋医学と東洋医学両方の得意なところを取り入れられるようになれば嬉しいです。
『経穴(けいけつ)』とは
経穴は一般に「ツボ」と呼ばれ、身体に361箇所存在します。東洋医学の長い歴史の中で、経験的に刺激すると症状が特に良くなる部位として伝えられ、現在まで使われてきました。
東洋医学では、人体には「気」や「血」といった物質がくまなくスムーズに巡っていて、何らかの理由でそれらが不足したり滞ることで、病に至ると考えます。この気血の通り道は経絡(けいらく)と呼ばれ、体を縦に走る経脈(けいみゃく)と、経脈同士の連絡を強める絡脈(らくみゃく)の総称で、各臓器や組織、体表(皮膚)などをつないでいます。ツボは経絡上にあり、気血の巡りをよくするためのポイントとして治療に使用します。
例えるならツボは駅、経絡は路線。どこかでトラブルがあれば、その路線全体、さらに連絡する別の路線まで、電車が止まったり、遅延したりします。トラブルの元を直せば電車はスムーズに動き出し、遅延も解消されます。ツボに鍼や灸をするイメージとしてはこれが一番わかりやすいのではないでしょうか。
経絡には属さず単独で存在し、独特の効果を持つ奇穴(きけつ)と呼ばれるツボも合わせると、その数は1000を超えます。
鍼灸のメカニズム
鍼灸には”ツボ刺激による効果”と、”鍼や灸の刺激による効果”があり、それぞれに研究がされています。ツボ刺激による効果はまだ十分な解明はなされていませんが、鍼や灸の刺激が生体に及ぼす効果としては、科学的に証明されているものが多くあります。
具体的には①鎮痛作用、②血行促進作用、③免疫の活性化があると考えられています。
①鎮痛作用
身体には痛みを抑制する様々な仕組みが備わっています。痛いところを押さえたり擦ったりすると痛みが和らいだり、気分が良くなることや楽しいことをしている間は痛みが気にならないなど、一度は経験があるのではないでしょうか。鍼灸の刺激は、このような痛みを抑制する仕組みを働かせて、その結果として鎮痛作用を発揮します。
②血行促進作用
身体には病気やケガを自分で治す自然治癒力や、外から入ってくる病原体から身を守る免疫力が備わっています。傷害を受けるとそれらのシステムが働きだし、身体に様々な反応が起こります。例えば、血管を拡張させて酸素や栄養をたくさん含んだ新鮮な血液を呼び込んで新陳代謝を高めたり、異物と戦う白血球を呼び寄せて傷付いた部位から感染することを防いだりします。鍼灸治療はこのような反応を利用して、皮膚や筋肉に目には見えない微細な傷や小さな火傷を作り、血液循環を改善して肩こりや腰痛を治したり、傷害を負った部位の修復を促進したりします。
③免疫の活性化
身体には皮膚や筋肉に刺激が加えられると、脳を介して自律神経が支配する臓器・器官の働きが反射的に調節される仕組みも備わっています。鍼灸の刺激はその仕組みを利用し、血管の調節をしたり臓器の働きを良くしたりします。その結果、血圧が調節されたり、ホルモンバランスが整えられたり、免疫系が活性化したりなど全身性の広範な効果が引き起こされます。そのため、鍼灸治療を続けていると体調が良くなり、病気になりにくくなるのです。
また最近の研究では、鍼灸の刺激は感覚神経を通り脳に入力するため、脳の機能を回復させ、慢性的な痛みやうつ病などの改善にも働きかけることが解明されてきています。
以上のことからわかるように、鍼灸は人体が備え持つ様々な仕組みによって、身体に微細な刺激や傷を与えることで、様々な生体反応を引き起こして全身に影響を与えることができるのです。