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2024-09-19 17:19:00

生理の話②

こんにちは、丘の上の鍼灸院です。

 

今日は『生理痛』について。

 

生理痛のメカニズムとしては、生理の時に子宮内膜により産生されるプロスタグランジンという物質の関与が大きいと言われています。

 

プロスタグランジンは子宮の収縮を促し、要らなくなった子宮内膜の排出を助けますが、この量が多すぎると収縮を強く起こして痛みの原因となります。他に血管を収縮させる作用により腰痛やだるさ・冷えがひどくなったり、胃腸の動きにも影響を与えて吐き気や下痢を起こすこともあります。

 

他にも女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの影響や、出産経験のない女性は子宮口のかたさが原因になったり、冷えなどの肉体的ストレスや精神的ストレスも影響し、各々の生理痛の原因を特定するのはなかなか困難です。

 

痛む場所や程度は人それぞれ個人差も大きいのですが、生理痛の中でも日常生活に支障をきたすほどのものは『月経困難症』という病名がつきます。

 

月経困難症では下腹部痛・腰痛・腹部膨満感・悪心・頭痛などの症状が強く認められ、子宮筋腫や内膜症などの器質的な疾患が原因となる場合と、原因となる疾患はないものがあります。 

 

生理は人に伝えたり比べたりしづらいもので、自分自身ひどい痛みを感じていても、たとえば10代の頃にまわりの大人に相談して自分もそういうものだったよと言われれば、そういうものだと長く我慢している方も多いです。

 

2030代に多い子宮内膜症が原因だった場合、ただの生理痛だと放っておくとどんどんと進行して不妊の原因になることもあります。

 

そうなると将来的に不妊治療が必要になるかもしれません。今はまだ結婚なんて、妊娠なんて、と思っているかもしれない。でもいつか、あのときこうしておけばよかったというような後悔を少なくするためにも知っておいてほしいです。

 

ひどい生理痛で悩んでいる方はまず、原因となる疾患がないか病院に行って診てもらってくださいね。

 

治療法としては、まずは薬物療法による痛みの軽減で、プロスタグランジン合成阻害作用のあるものや、女性ホルモンをコントロールする低用量ピルなどが用いられます。原因となる疾患があれば根本的な治療も行います。

 

鍼灸はお薬との併用もできます。

 

当院では、気血の循環をスムーズにし、自律神経やホルモンバランスを整えることを目的に鍼灸を行います。

 

ホルモンなどによってからだに起こる変化を、受け止められる余裕のあるからだを目指すのが、ざっくり東洋医学の考え方です。

 

生理痛にかかわらず何かしらの不調を抱えている人に言えることですが、少し生活を振り返ってみてくださいね。

 

夜更かしや睡眠不足、食生活の乱れ(食べる時間帯が遅いことや早食いも)、お酒やたばこ、運動習慣がないこと、急な体重変化、冷え(冷たい飲みものやサラダが多かったり、毎日アイス食べたり)など、気に留めてない日常のことが重なり体調に影響を与えていることは多いです。

 

もちろん精神的なストレスは特に痛みに大きく影響しますので、ストレスケアも大切です。

 

体調を意識するとき、体にいいものを取り入れてみたくなると思うのですが、増やすより先ほど書いたようなことを減らすことも意識してみてくださいね。

2024-07-28 13:32:00

生理の話①

こんにちは、丘の上の鍼灸院です。

 

今日は『生理』について。

 

生理は女性の一生と切り離せないので、女性の体についてのお話ですね。

 

生理は正しくは月経(げっけい)と言い、通常約1ヶ月(2538日)の間隔で起こり、限られた日数(37日)で自然に止まる子宮内膜からの生理的出血と定義されています。

 

1週間出血し続け、酷いと起き上がれないほどの痛み、生理前後にも精神的・肉体的な不調。

 

妊娠・授乳中を除き、初潮が来てから閉経するまでほぼ毎月繰り返されるので、ほとんどの女性にとって気の重いものでしょう。

 

ただ、生理はわかりやすく女性の体調のバロメーターになります。

 

元の体質、みたいなものもあるかもしれませんが、生理にはそのひと月どう過ごしたかも著名に現れます。

 

子宮筋腫や内膜症などの器質的な疾患を除き、生理のときに抱える不調は当たり前のものではありません。

 

生理痛もPMSの症状も本来は無いもので、その状態に近づけていくことができる、ということは知っておいてほしいことです。

 

さて、生理が起こるメカニズムの本来の目的は『妊娠すること』です。

 

妊娠は女性の体の中で、女性の持つ卵子と男性の持つ精子が出会って受精し、子宮内膜に着床することで成立します。

 

これから結婚・妊娠適齢期になる方や、現在妊活中という方には知っておいてほしいことですが、

 

女性は、卵子の元になる卵胞が卵巣の中に既に作られた状態で生まれてきます。胎児のときがピークで500700万個、出生時約200万個、10代の思春期頃に2030万個、20代に約10万個、30代で23万個まで減少します。さらに全てが卵子になるのではなく、成熟して大きく育ったものだけが卵子として卵巣からはじき出され、これを排卵と言います。実際の排卵数は女性の一生で400500個程度です。

 

卵胞は胎児の段階から体内にあるため、女性とともに年を重ねます。年齢に連れ数が減少するだけでなく、質の低下が見られます。

 

反対に男性側の精子は半永久的に作られ続けるものですが、男性の加齢と無関係ではありません。

 

これがどういうことを示すのか。考え方や選択はもちろん人それぞれですが、後悔しない選択をするためにも正しい知識を持っていることはとても大切です。

 

さて、女性の体は毎月、脳の視床下部や下垂体、卵胞などが分泌するホルモンの指令を受け、排卵・受精そして着床に向けて準備を始めます。

 

卵胞はエストロゲンを分泌し、まず受精卵のためのベッド(=子宮内膜)を作ります。卵子を排出したあとの卵胞は黄体となって残り、プロゲステロンを分泌してベッドをふかふかにします。妊娠が成立しなければ、排卵から2週間程度でそれらのホルモンは急激に低下し、子宮内膜は血行障害を起こして壊死して剥がれ、排出されます。これが生理です。 

 

この排卵~生理の流れはホルモンの影響を多大に受けるため、環境や人間関係による精神的ストレス、無理なダイエットや激しい運動、不規則な生活、栄養不良などは、生理のときに抱える様々な不調の原因となります。

 

②では生理痛の話を詳しく

2023-05-12 15:16:00

帯状疱疹。

こんにちは、丘の上の鍼灸院です。

 

 

今日は『帯状疱疹』について。

 

 

帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる感染症です。

 

数日~10日間程チクチクとした神経痛のような痛みがあり、その後、体の左右どちらか一方の神経に沿って帯状に赤い水ぶくれを伴う発疹が現れます。

 

発疹は体の至るところに現れますが、最も多いのは胸から脇腹にかけてです。顔や目の周りに現れ、耳鳴りや難聴、顔面神経麻痺などの合併症が起こることもあります。

 

皮膚と神経の両方でウイルスの増殖による炎症が起こっているため、強い痛みを伴います。

 

 

原因は、子どもがかかることが多い「水ぼうそう」と同じウイルスです。

 

水ぼうそうは多くの場合1週間程度で治りますが、回復後もウイルスは体内からはなくならずに体の中に数十年以上潜伏します。

 

そのため水ぼうそうにかかったことのある人なら誰でも発症する可能性があるのです。

 

 

加齢やストレス、過労などが引き金となって免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び増殖し、神経に沿って体の表面に現れて帯状疱疹を発症します。

 

帯状疱疹自体は水ぼうそうと同様、そのうちにほぼ確実に治りますが、ウイルスの攻撃によって神経に強い損傷が生じ、皮膚症状が消えた後にも痛みだけが長い間残ることがあります。

 

これを『帯状疱疹後神経痛』といい、特に高齢の方や、帯状疱疹が重症であった方に起こりやすいといわれています。

 

 

帯状疱疹になったら、病院では抗ウイルス薬を使ってウイルスの増殖を抑制します。急性期の皮膚症状や痛みの緩和、合併症や後遺症を軽減するため、早期治療が大切になってきます。

 

もし帯状疱疹後神経痛が残った場合は、主に内服薬による治療を行い、痛みがひどい場合は神経ブロック注射を行うこともあります。

 

 

鍼灸治療ではあらゆる痛みに対して鎮痛作用が期待でき、帯状疱疹の場合は局所への低周波鍼通電療法を中心に行います。

 

また、帯状疱疹を発症すること自体、ストレスや過労で免疫力が下がった状態なので、全身治療で自然治癒力を高めるような治療もしていきます。

 

発症前のチクチクとした痛みの段階で鍼をすると帯状疱疹の発症を抑え、発症直後は病院と併用して治療することで早期の改善や後遺症のリスクを軽減します。

 

帯状疱疹後神経痛になったら完治まで時間がかかりますので、発症させない、発症しても早期にウイルスの増殖を抑えることが大切になってきます。

 

異変に気が付いたら一日も早く治療にかかってくださいね。

2023-04-07 17:19:00

顔面神経麻痺。

こんにちは、丘の上の鍼灸院です。

 

 

今日は『顔面神経麻痺』について。

 

 

顔面神経麻痺は、主に片側の顔の筋肉を動かすための顔面神経が何らかの原因で障害された病態をいい、中枢性と末梢性に分かれます。

  

中枢性のものは脳卒中などの脳内の病変によって起こり、末梢性のものは末梢神経でのウイルス感染や外傷によって起こります。中枢性か末梢性かの鑑別は肉眼で可能です。

  

顔面神経麻痺の原因の約60%はベル麻痺、約15%はラムゼイ・ハント症候群の末梢性顔面神経麻痺が占めます。

  

ベル麻痺は以前は明らかな原因が特定できないものを指しましたが、最近では単純ヘルペスウイルスの再活性が原因ではないかと言われています。50代で多く、一般に予後良好で、自然治癒率は70%と言われています。

  

それに対し、ハント症候群は帯状疱疹ウイルスの再活性が原因となり、20代、50代に多く、比較的予後が悪く、自然治癒率30%で、ベル麻痺と比べ経過もゆっくりです。

  

これらは様々な要因が引き金となり急に発症します。ウイルスの再活性と書きましたが、つまり免疫力の低下が原因と考えられます。ストレスや過度の疲労、睡眠不足、風邪による体力低下等々あげられます。

  

末梢性顔面神経麻痺の症状としては、閉眼ができない、額のしわ寄せができない、口角が下がる、食べ物がこぼれる、鼻唇溝が消失する、味覚の低下、聴覚過敏などがあります。中枢性だと額のしわ寄せが可能です。さらにハント症候群の場合は帯状疱疹ウイルスが原因のため、耳周辺には痛みを伴う水疱が見られ、難聴や耳鳴りも伴います。

 

  

顔面神経麻痺を発症してしまったら…早期の治療が予後を大きく左右します。

  

時間が経てば経つほど治りにくくなり、後遺症が出る可能性も高くなります。

  

 

病院では、炎症や浮腫を抑えるために1週間~10日程度ステロイドや抗ウイルス薬を投与し、一定の効果が認められます。神経の再生を促すためにビタミン剤も処方されます。

 

麻痺が軽度であれば薬物治療だけで改善に向かいますが、麻痺が高度な場合は一部麻痺が残ったり、中には全く変化が見られないこともあります。

 

ステロイド等の投与のあとは様子をみることになり、麻痺が高度であれば手術を勧められることもあります。 

 

 

鍼灸治療は発症から1週間くらいから可能です。病院での治療と並行してすることができます。

  

当院では、炎症を抑え、麻痺部の筋肉や神経に刺激を与えて麻痺の改善を図り、患部の血流改善と全身の治癒力を高めることを目標に治療を行います。

 

麻痺の程度や治療を始める時期にもよりますが、鍼灸治療によって改善される方は多くいらしゃいます。

 

鍼灸治療を始めるタイミングは早いほど改善する可能性が高くなりますので、お悩みの方は信頼できる鍼灸院に一度相談してみてくださいね。

 

また、発症後1年以上経過している場合は大きな改善は難しくなります。ですが、やはり見た目のこと、その場合でも少しでも改善する可能性があれば鍼灸治療を試してみてほしいと思います。

 

2023-03-29 17:02:00

緑内障。

こんにちは、丘の上の鍼灸院です。

 

 

今日は『緑内障』について。

 

 

当院には緑内障の進行予防のため、治療に来られている方がいらっしゃいます。

 

緑内障は、何らかの原因で眼底にある視神経という部分が障害を受けて、徐々に視野が狭くなる病気です。初期の段階では自覚症状がなく、進行して初めて気付く方が多いです。日本人の中途失明原因の1位となっています。

 

緑内障の治療は眼圧を下げて視神経への負担を減らすこと。点眼薬、レーザー治療、手術はすべて眼圧低下を目的にしています。

 

では『眼圧』とは?

まぶたの上から眼を軽く触ると風船のような弾力があります。これは眼の中に満たされている液体(房水)が一定の圧力を保ちながら循環しているためで、眼圧とはこの房水による眼球内の圧力をいいます。房水の流出が悪くなることが眼圧上昇の原因と考えられています。

 

実は多くの方は眼圧が正常範囲内の『正常眼圧緑内障』と言われていて、眼圧が高い状態の緑内障はそんなに多くありません。

 

緑内障の方では視神経周辺の毛細血管が萎縮していると言われていて、そうすると循環が悪くなり血流や酸素などの栄養が不足し、視神経の脆弱性が見られます。

 

たとえ眼圧が正常範囲内だとしても、視神経に障害があれば眼圧を下げる治療が必要になります。

 

 

鍼灸治療では、眼圧を低下・安定させること、視神経周辺の循環改善を目標としています。

 

当院では目の周りはもちろん、首・肩こり、冷え性など全身の状態を診て治療していくことで、全身の循環を改善し目の方にもより効果が期待できます。

 

時間をかけて失った視野は残念ながら元に戻ることはありません。ただ急な悪化により視野が欠けたようにみえていても、まだ完全に細胞が死んでいなければ回復する場合もあります。

 

また緑内障と診断された方は失明するのではないかという不安がとても大きく、その不安を私たち施術者は完全にわかってあげられませんが、視界が明るくなった、欠損部のモヤモヤがとれた、眼圧が安定してきた、など改善を自覚することで少しずつその不安は和らぎます。

 

 

緑内障は一度発症すると完治させることはできず、その進行を抑えることが治療の目的です。

 

緑内障と診断されても失明に至るのは少数です。中には急激に悪化するケースもありますが、ほとんどの場合正しく点眼薬を使い、目への負担を減らすよう心掛けて生活できれば進行を防ぐことができます。

 

適切に検査・治療を受けていても眼圧が安定しない方、どんどん悪くなっているという方は、一度信頼できる鍼灸院で治療を受けてみることをおすすめします。

 

また今は完全な治療法はなくても日々医学は進歩しているので、いつか画期的な治療法が生まれるかもしれませんね。

 

 

緑内障は早期発見・早期治療が大事です。

 

緑内障は40歳以降になると増えており、また遺伝する病気と言われていますので、親族に緑内障の方がいる場合や、40歳を過ぎたころから定期的に眼科で検査するようにしましょう。

 

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