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東洋医学の話④
こんにちは、丘の上の鍼灸院です。
超スローペースになっていますが、今日は東洋医学の話の続きを。
前回は、『血』のはたらきと血が足りなくなってしまった状態の『血虚(けっきょ)』について書きました。
ざっくり、血は栄養とか潤いとかです。
足りなくなると、そのまま栄養不足とか潤い不足とかの症状が出ます。
今回は、血の巡りが悪くなった状態の『瘀血(おけつ)』について。
ご興味あればぜひ。
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血の巡りが悪くなり滞ると、瘀血と呼ばれる状態になります。
分かりやすくいうと、血がドロドロとした状態です。
色でいうと、
血虚は血が足りなくなるので、白っぽい淡いイメージ。
瘀血は血流が悪く老廃物が溜まってしまっているため、紫や暗い赤色のイメージです。
ちなみにこれは舌の色でもわかります。通常は淡い赤色をしています。
血の巡りが悪くなる原因は、主にストレスや冷え、生活習慣の乱れ(偏食・運動不足など)です。
他にも手術や外傷などがあると、瘀血ができやすくなります。
主な症状は、
・慢性的な肩こりや頭痛
・顔や唇の色が暗い、シミやそばかすが多い、目の下のクマ
・月経痛がひどい、月経血に血塊(血のかたまり)が混じる
など。
女性で月経痛がひどいという方は、このタイプであることが多いです。
月経痛は基本ないものと考えられています。
薬を飲むほどの月経痛がある人は、
血の巡りが悪くなる原因がないか=ストレス、冷え、生活習慣の乱れ
に注目してください。
このタイプは、
・ストレスを上手く発散させること
・薄着や冷たいものの摂り過ぎで体を冷やさないこと
(特に生理中は気を付ける)
・運動不足や長時間の同じ姿勢を避けること
を意識してくださいね。
『気滞』の場合もそうですが、巡りが悪い状態は動くことによって解消しやすくなります。
動くことはストレスの解消にもつながります。
瘀血の人は、動く+冷やさないことが大切です。
10月&お灸講座の感想
こんにちは、丘の上の鍼灸院です。
10月9日(月)祝日はお休みです。
あとは通常どおりの予定ですので、よろしくお願いします。
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先日はじめてお灸講座というものをする機会をいただきまして、
元々人前で話すのは得意ではなく、頭が真っ白になるのでは…
という不安が大分ありましたが、なんとか1時間、やりきれたかなと。
内容としては、
お灸とは・お灸の種類・安全なお灸のすえ方・ツボの取り方・実践!という感じでしたが、
1時間の中で、25人のお灸をしたことをない方たちに対して、
どこに時間を割けばいいのか難しかったです。
来てくれているのはお灸に興味を持ってくれた方だと思うので、
お灸のよさと、お灸は怖くない難しくないよってことが伝わっていればいいなと思います。
もっとこういう風にすればよかった、こういう話もできればよかったとか色々あるのですが、
圧倒的に時間も足りなかったので、それはまた今後に活かしていきたいと思います。
講座でもお話ししましたが、
お灸のよさは心と体の巡りをよくすることはもちろんなのですが、
自分に優しい生活を送るきっかけになることが大きいんじゃないかなと個人的には思っています。
それは自分の経験から思っていることで、本当はその話も入れたかったのですが時間の関係上…。
またそれはこのblogかどこかで書きたいと思います。
今回やってみて、大人数に対して言わば入門編のさわりのような講座になりましたが、
さらに興味がある方に対して、少人数でもうちょっと掘った内容の講座をしても面白そうだと思いました。
そういえば、今回お灸の講座をさせてもらいましたが、実際の当院での治療は鍼がメインだったりします。
お灸は体質や症状に合わせて使ったり使わなかったりなんです。
なにはともあれ無事終了し、今回企画して依頼してくださった公民館の方と来てくださった方、
ありがとうございました!
そもそもが、忙しい現代人を応援する講座ということで、ピラティス・エクササイズ・お灸の全3回の講座。
なかなか珍しい形の講座でいいですよね。自分の市でやってたらいいな、参加してみたいなと思いました。
9月&東洋医学の話③
こんにちは、丘の上の鍼灸院です。
9月18日(月)は祝日ですが休診日となっております。
23日(土)の祝日は通常どおり営業しますので、よろしくお願いします。
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今日は東洋医学の話③です。
①②では『気』『血』『津液(水)』の3つの物質が私たちの心身を巡り生命活動を行っていること、
なかでも『気』のはたらきがスムーズにいかなくなった『気虚』と『気滞』の状態について書きました。
今回は『血』のはたらきと、血が足りなくなってしまった状態の『血虚(けっきょ)』について。
ご興味あればぜひ。
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血は気とともに全身をくまなく巡り、栄養を与えています。
狭義では血液ともいえますが、もっと広く、からだに栄養と潤いを与える物質です。
血には精神を安定させるはたらきもあります。
血が充実していれば心身が円滑に機能し、健康で安定した状態となります。
血が足りなくなった状態が『血虚(けっきょ)』です。
原因は気虚の場合と同じで、
① 血が作れない / ② 血を消耗している の2つがあります。
①の血が作れない場合、食事の不摂生や睡眠不足があげられます。
血も気と同じで、飲食物から取り込んだ栄養素から作られます。
血の原料となる食材を食べていない、または胃腸が弱って栄養を消化吸収できないと血が不足します。
また血は寝ている間に作られるため、睡眠時間が短いとじゅうぶんに血が作られず不足してしまいます。
②の血を消耗している場合については、女性は毎月生理があるので血が不足しやすくなります。
他にストレスや過労(特に肉体労働)、目の酷使によって血を消耗することなどがあげられます。
血虚の状態になると、
・顔色が悪い、唇や爪の色が淡い
・目のかすみ、ドライアイ、眼精疲労
・肌や髪の乾燥
・めまい、動悸
・不安感
・手足のしびれ
・寝つきが悪い、眠りが浅い、よく夢を見る
・抜け毛や白髪が増える
・物忘れが多い
・生理が遅れやすい
などの症状が出ます。
貧血と似たような症状ですが、貧血の検査をしても異常なしの場合も少なくありません。
検査では正常値でも、東洋医学的には血が不足したことでいろいろな症状が出ていると考えます。
このタイプはそのまま、血を補うことと、消耗を少なくすることが大事。
睡眠不足では血が不足します。
個人差もあるでしょうが、7時間くらいは必要かなと思っています。
私自身、6時間睡眠が続いたときと7時間のときとでは、かなり調子が違います。
またスマホやPCによる目の使い過ぎは血を消耗しますので、ほどほどに。
特に寝る前のスマホは入眠の妨げにもなります。
スマホは置いておいて、10分でも早く眠る準備に入りましょう。
それから胃腸に優しい生活を心掛けてくださいね。
油っこいもの、味の濃いもの、甘すぎるもの、冷たいものは控えめに。
普段の食事ではじゅうぶんな栄養が摂れているか振り返ってみてください。
血を作るにはたんぱく質が必要です。
食欲もあるし3食きちんと食べているという人でも、間食が多く、たんぱく質などの血を作るために必要な栄養素が少なくなっていることもあります。
ただし、胃腸が弱っている人は消化吸収の負担になるので、胃腸のケアが最優先です。
(東洋医学の話①『気虚』のところで書いています)
ストレスは体に熱を生み、血を消耗させてしまう原因になります。
ストレスが原因になってないかも振り返ってみてください。
虚(きょ)しているというのは弱っているということ。
気虚の場合と同じく、休息や胃腸のケアは基本です。
原因に気づけば対処できます。
自分にあった優しい生活ができているか、日常生活を振り返ってみてくださいね。
『立秋』
こんにちは、丘の上の鍼灸院です。
昨日8月8日は『立秋』、一応暦の上では秋のはじまりです。
少し太陽の位置が低くなったような。
以前はお盆過ぎたあたりから少し涼しくなるような気がしていましたが今年はどうでしょうか。
秋になるとだんだんと空気中の湿度が少なくなり、秋から冬にかけては乾燥に注意。
東洋医学では秋は『肺』と結びついていると考えられていて、咳が出やすくなったり、のどの渇き、肌の乾燥、便秘などの症状が出やすくなります。
梨はほとんどが水分で、体を潤す作用が◎。
柿はビタミンCが豊富で免疫力を上げて風邪の予防に。
イチジクは栄養価が高く特に女性に食べてほしい果物。
柿やイチジクは食物繊維が多く、便秘を解消し腸内環境を整える効果も◎。
梨や柿は食べ過ぎると体を冷やすので注意です。
ぶどうは疲労回復にいいとされ、夏から秋への変わり目にぴったり。果物には珍しく体を冷やしません。
どれも体を潤す作用が強く、秋におすすめの旬の果物です。
秋は次に来る寒さの厳しい冬に向けて準備する期間でもあります。
早寝早起きを心掛けて、冬に向けて夏の疲れをしっかりとりましょう。
だんだんと気温の変化も激しくなっていきます。
季節の変わり目は体調を崩しやすいので気を付けて過ごしてくださいね。
8月&東洋医学の話②
こんにちは、丘の上の鍼灸院です。
8月10日(木)は休診、11日(金)は祝日ですが営業します。
あとは通常どおりの予定です。
よろしくお願いします。
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前回から東洋医学の話を書いています。
前回、『気』とは私たちを動かす生命エネルギーであること、そしてその気が足りなくなった状態=『気虚』について書きました。
今日は気の巡りが悪くなった状態=『気滞(きたい)』について。
ご興味ある方は長くなりますが読んでみてくださいね。
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気はスムーズに全身を巡ることで私たちの心身にたくさんのはたらきをもたらします。
私たちのすべてを動かすおおもとのはたらきをしていると言えます。
気の巡りが悪くなり滞る=気滞の状態になると、私たちの心身には様々な影響が出ます。
精神的・肉体的なストレスが強く、うまく発散できていないとこのような状態になりやすく、繊細でストレスを溜めやすい人、ストレス発散ができないくらいに忙しい人に多いです。
気滞のイメージはスムーズに流れるべきものが流れず、滞り、詰まり、溜まってパンパンに張った状態。
このタイプの特徴は特に精神面に現れ、精神的に不安定になります。
主な症状は、
・イライラして怒りっぽい
・憂鬱や落ち込み、気持ちの浮き沈みが激しい
・肩こり
・のどの詰まり感(東洋医学では「梅核気(ばいかくき)」といいます)
・胃やお腹が張って苦しい、ガスやげっぷが多い
・生理周期の乱れや月経前症候群
などがあります。これも一度は経験したことがあるかもしれませんね。
このタイプは気の巡りをよくすること、溜まった気を発散することが大事です。
深呼吸や、運動して適度に汗をかくことで気を巡らせる。
普段からストレスを溜め込まないよう自分だけの時間をもつ。
普段ほとんど動かないという人はストレッチだけでもやってみてください。
万歳したり、肩を回したり、股関節をぶらぶらしたりして伸ばしたり、
気を全身に巡らすイメージでのびのびと過ごしましょう。
ストレス発散には大きな声を出すとかもいいと思いますよ、カラオケとか。
(ちなみに『気虚』は運動すると余計疲れやすく、『気滞』は運動することで調子が良くなります。)
ストレスの原因がなくなれば解消されるかもしれませんが、このタイプは性格的にストレスを抱え込みやすい人に多いので、慢性的にこの状態になります。
自分の状態を理解して、なぜこういう症状が出ているのかがわかれば、解消法も見つけやすくなります。
ご参考になればいいなと思います。
鍼灸でもお手伝いできますので、ご相談くださいね。
次回は『血』について。